東京の「秘密の庭園」――コンクリートジャングルに隠れた緑の聖域 | NETOKYO

東京都心に現存する江戸期の大名庭園について、公開情報をもとにまとめた編集記事です。  ·  NETOKYO Editorial

高層ビルが立ち並ぶ東京都心には、江戸時代の大名庭園がいくつも現存している。六義園・小石川後楽園・清澄庭園・旧芝離宮恩賜庭園――いずれも国の名勝や史跡に指定され、当時の造園技術と美意識を今に伝える。

大名庭園とは何か

大名庭園とは、江戸時代に諸藩の大名が江戸の屋敷内に造営した回遊式庭園を指す。池を中心に園路を巡らせ、要所に築山や名所の景観を再現した「見立て」を配置する回遊式庭園は、江戸期の造園技術の集大成とされる。明治維新後、多くの大名庭園は華族や政府要人、財閥の所有に移り、一部は解体・縮小された一方、現存するものは国の名勝・特別名勝・史跡として保存され、公園として一般公開されている。

六義園――和歌の世界を再現した庭

六義園は、五代将軍徳川綱吉の側用人であった柳沢吉保が1695年から7年をかけて造営した回遊式築山泉水庭園である。庭園名は中国の詩の分類法「六義」に由来し、和歌の情景を庭に再現する「和歌の庭」として設計された点が特徴とされる。明治期には三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎の別邸となり、後に東京市(現・東京都)に寄付され、現在は国の特別名勝に指定されている。

小石川後楽園――水戸徳川家の庭

小石川後楽園は、水戸徳川家の初代藩主・徳川頼房が江戸上屋敷内に造営し、二代藩主・徳川光圀(水戸黄門)の代に完成した庭園である。「後楽園」という名前は、中国の古典「岳陽楼記」にある「天下の憂いに先だちて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」という一節に由来するとされ、光圀が明からの儒学者・朱舜水の意見を取り入れて命名したと伝わる。国の特別史跡・特別名勝の両方に指定されている、日本でも数少ない庭園の一つである。

日本庭園の池と紅葉
都心の大名庭園は四季の景観を楽しめる回遊式庭園として設計されている

清澄庭園・旧芝離宮――近代に引き継がれた庭

清澄庭園は江戸期の大名屋敷跡地を、明治期に三菱財閥の岩崎弥太郎が買い取り整備した庭園で、全国から集めた名石を配した「石庭園」としての性格が強い。旧芝離宮恩賜庭園は、江戸初期の大名屋敷跡を起源とし、後に皇室の離宮となった経緯を持つ。いずれも東京都が管理する都立庭園として一般公開されており、入園料を払えば誰でも回遊式庭園としての設計思想に触れることができる。

都心に残る主な大名庭園
  • → 六義園(文京区・国指定特別名勝)
  • → 小石川後楽園(文京区・国指定特別史跡及び特別名勝)
  • → 清澄庭園(江東区・東京都指定名勝)
  • → 旧芝離宮恩賜庭園(港区・国指定名勝)

ビルに囲まれた庭園という現在

これらの庭園に共通するのは、周囲を高層ビルや幹線道路に囲まれながらも、園内に足を踏み入れると江戸期の景観設計がそのまま体感できる点である。都市開発が進む中でこうした庭園が解体を免れ現存している背景には、明治以降の所有者(財閥・皇室・地方自治体)が庭園そのものの文化的価値を認識し、保存に努めてきた経緯がある。現在は文化財保護法・都の文化財保護条例のもとで管理され、改変には規制がかけられている。

N
Written by
一次情報・公式発表・統計データをもとに東京の今を伝える編集チーム。訂正・ご指摘はお問い合わせまで。
PR・本記事はアフィリエイト広告を含みます
🏙️ 東京のホテルを楽天トラベルで探す
楽天ポイントが貯まる・使える。エリア・料金で比較してお得に予約できます。

楽天トラベルで東京のホテルを探す →

※料金・空室は変動します。最新は楽天トラベルでご確認ください。

よくある質問

大名庭園は誰でも入れますか?
六義園・小石川後楽園・清澄庭園・旧芝離宮恩賜庭園はいずれも一般公開されており、入園料を払えば誰でも見学できます。
六義園と小石川後楽園の違いは何ですか?
六義園は和歌の情景を庭に再現した「和歌の庭」、小石川後楽園は中国古典に由来する思想を反映した庭という、それぞれ異なる設計思想を持ちます。
紅葉や桜の見頃はいつですか?
庭園により異なりますが、六義園はしだれ桜(3月頃)と紅葉のライトアップ(11〜12月頃)が特に知られています。最新の開催情報は各庭園の公式案内でご確認ください。
Local Tokyo大名庭園六義園小石川後楽園

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です