深夜の病院を走る看護師が語る東京――午前3時の命と、誰も見ない献身 | NETOKYO

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深夜の病院を走る看護師が語る東京――午前3時の命と、誰も見ない献身
Tokyo Stories

深夜の病院を走る看護師が語る東京――午前3時の命と、誰も見ない献身

May 20269 min readTokyo Stories

東京都内の夜間救急病院で働く看護師・鈴木奈緒さん(34歳)。深夜0時から朝8時まで、誰も見ていない場所で、命と向き合い続ける人物の8時間を追った。

午前0時、シフトが始まる

白衣に着替え、前のシフトの看護師から申し送りを受ける。今夜の患者数、急変リスクの高い患者、投薬スケジュール——膨大な情報を5分で把握する。「準備はいいですか?」という問いは形式的だ。準備が整わなくても、午前0時は来る。

鈴木奈緒さん(34歳)は東京都内の3次救急病院で7年間、夜勤専従の看護師として働いてきた。昼夜逆転の生活。週3回の夜勤。深夜に急変する患者。「なぜ夜勤を続けるのか」という問いに、彼女は即答した——「夜は、昼より人間に近い気がするから」。

深夜の病院を走る看護師が語る東京――午前3時の命と、誰も見ない献身
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「午前3時の東京」は別の世界だ

「深夜3時頃に窓の外を見ると、東京がとても静かです。救急車のサイレンだけが聞こえる。あのサイレンが、今夜誰かが運ばれてくるという合図で。そのたびに身構えます」。

救急搬送されてくる患者の背景は多様だ。交通事故、酩酊、自傷、突然の意識消失——深夜には昼間より「社会の底」が見えやすい。鈴木さんが最も心に残っているのは、一人で亡くなっていくお年寄りの患者だ。「家族が来ない夜が多い。その人の手を握っているのが、私だけという時間がある。あの瞬間が、この仕事を続ける理由の一つです」。

夜勤看護師の「東京の見え方」
  • 午前0〜2時:飲酒・事故による搬送が増える。若者が多い
  • 午前3〜5時:最も「静かで怖い時間」。患者の急変が起きやすい
  • 午前5〜7時:夜明けとともに患者が落ち着く。「朝になれば大丈夫」という感覚がある
  • 午前8時:退勤。外は通勤ラッシュ。「別の東京」が動き始めている
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「報われない」という感覚と戦い続けること

日本の看護師不足は深刻だ。2025年の調査では、全国で約6万人の看護師が不足しているとされる。夜勤手当は増えているが、精神的・身体的な負荷は軽減されていない。多くの看護師が「仕事は好きだが続けられない」という矛盾を抱えている。

鈴木さんも同じ葛藤を持つ。「夜勤明けに電車に乗ると、みんな普通に出勤している。昨夜命と向き合っていた私が、同じ電車に乗っていることを誰も知らない。その孤独感は今も慣れません」。

患者さんが朝を迎えられたとき、それだけで十分です。感謝の言葉は要らない。ただ、朝になっても生きていてほしい。それだけを思って、夜を走っています。

— 鈴木奈緒さん(夜勤看護師・東京)
NETOKYOの視点

東京の深夜を支えているのは、華やかな夜景の向こうで黙々と働く人たちだ。看護師・救急隊員・清掃員・警備員——誰も見ていない場所で、誰かが東京を支えている。この街の「安心」は、彼らの献身の上に成り立っている。鈴木さんのような人たちへの敬意を忘れたとき、私たちは東京の本当の価値を見失う。

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